ELANを使う際の注意点まとめ

ELANはオランダ・ナイメーヘンのマックスプランク心理言語学研究所が開発するフリーのアノテーションソフトウェアです.

ELANは映像や音声を用いた研究をする際の非常に強力なツールになり得ますが,各種操作をする上でいくつかの問題を抱えてもいます.そういった問題については配布元のフォーラムで報告・議論されていますが,まとまった情報を日本語で読めるページがなかったので,このページではひっかかりやすい問題点とその対処法を解説しています.

日本語で読める操作方法一般の解説については「ELAN即席入門」が詳しいので,そちらで確認していただければと思います.

問題が起きたときの一般的な解決策

ELANは比較的頻繁にバージョンアップが行われますが,バグが残ったままリリースされることもそれなりにあるようです.したがって問題解決への基本的な態度は安定したバージョンを見つけ,不具合が出ない限りは使い続けることです.

また,ELANはインストールフォルダを分けることで複数のバージョンを共存させることができます.これを利用して新しいバージョンに問題がないかどうかを確認することも重要になります.

タイトルバーの表示がInitializing(初期化中)のまま動かなくなる

経験的にELANをインストールしたばかりの時に起こりやすいようです.この場合はPCを再起動することで問題が解決することがあります.

ソースファイルが読み込めない

ソースファイルの置かれているパスに日本語(おそらく2バイト文字)が含まれていると読み込めない場合があります.ソースファイルをドライブ直下に置くか,日本語を含まないフォルダに配置することで対応できます.たとえばD:\C:\elanSource\など.

ソースファイルが再生できない1

読み込んだソースファイルのうち,特に映像ファイルが再生できない場合がありますが,これはほとんどの場合適切なコーデックを追加することで解決できます.

Windowsの場合

Windowsの場合はWin7 CodecsK-Lite Codec Packなどのコーデックパックを導入することで多くの映像再生に関する問題を解決できる可能性があります.ただし導入する場合はどれか1つだけにしてください.複数のコーデックパックを導入するとコンフリクトが発生して問題がややこしくなります.

コーデックパックをインストールする際,目的のもの以外のソフトウェアが同梱されている場合があります.インストールするかどうかを明示的に尋ねる画面が挟まっているはずですので,何も考えずにYesをクリックし続けるのはやめてください.

MacOSの場合

MacOSの場合はPerianを導入することで多くの映像再生に関する問題を解決できる可能性があります.ELANとは関わりなくQuickTime単独で様々な動画形式を再生できるようになるので,インストールしておくことを強くおすすめします.

ソースファイルが再生できない2

ELANはが同時再生可能なファイルの最大数は4です.最大数を超えてファイルを追加しても,同時に再生されるのは4つまでです.また音声が再生されるのはマスターメディアに指定されているファイルだけです.

Ver4.8.1から複数読み込んだファイルのうち,どのファイルの音声を再生するのかを選択できるようになりました(ただし排他的であることには代わりがありません).

QuickTimeとELANをインストールする順番

Media FrameworkにQuickTimeを使う場合,ELANよりも先にQuickTimeをインストールしておく必要があります.先にELANをインストールするとうまく動かないことがあるので,一応気にしておいた方がいいでしょう.

※ おそらくQTJava.zipというライブラリのあるパスがシステムに登録されている必要があるため.無事インストールされている環境ならば,Windowsの環境変数に情報が格納されています.

コマ送り(1フレーム単位の早送り)ができない

特定の動画でコマ戻しができなくなることがあります.この場合は1.動画を再エンコードする,2.設定から「フレームの前後進では次の/前のフレームの先頭にジャンプする」のチェックを外す,という2つの方法があります.

1.動画を再エンコードする際はキーフレームの設定を「自動」または「すべて」に指定します.

2.設定を変える場合は,ウィンドウ上部のEdit→Edit Preferences→Media→Media Navigationとたどってチェックボックスをオフにしてください.ただし,動画によってはタイムラインのみが移動してしまい,静止画が切り替わらない場合があります.この場合はやはり動画を再エンコードする必要があります.

映像再生がスムーズにできない

単純にマシンパワーが不足している可能性が高いです.少し前(2010年ころまで?)に流行っていたネットブックではかくついた再生さえできないと思います.サイズの大きな高解像度・高フレームレートの動画複数を同時に再生するには極めて大きなパワーが要求されますので,最低でもCPUはCore i5,RAMは8GBを積んだマシンを使うことをおすすめします.経験的に,ですがビデオカードはそんなにいいものでなくても大丈夫でしょう.

マシンの乗り換えが難しい場合は複数の動画を読み込むことをあきらめましょう.動画編集ソフトウェアを使い,ソースファイルを1つのファイルに合成して読み込むことで多少はパフォーマンスを改善できます.

リンクファイルの変更で「すべてのファイル」が選択肢に現れない

これはバージョン4.2.0固有の問題です.バージョン4.3.0以降,または4.1.2以前では起こらない現象です.eafファイルをテキストエディタで開いてソースファイルのパスを直接書き換えればmp4,mov,mpeg以外のファイルも使用することは可能ですが,4.2.0で追加された機能を使う予定がないなら,4.1.2以前のバージョンにロールバックすることをおすすめします.

ジョグシャトルでの操作ができない

これは特にShuttle Proで設定をインポートするときに関係する話ですが,フックするプログラムの選択を間違えると正しく動作しません.詳細についてはこちらのエントリを参照してください.

アノテーションの縦のラインがずれる

注釈層に階層関係を設定せずに,しかしビジュアルには関係がわかるようにしてアノテーションをしたい,という欲求がでてきたときに突き当たることがある問題です.「あまり細かいことは気にしない」というのが省エネかつ精神衛生にもよいわけですが,そうも言っていられない場合は,映像ファイルのフレームにアノテーションがスナップするように環境設定を変更してください.

効率よくアノテーションをする方法はないの?

と考えている方は,とにかくショートカットキーを覚えてキーボードのみで操作するようにしてください.慣れてくると注釈の作成・修正・複製等の作業が一切マウスに触ることなくできるので,スピードが段違いに上がります!ショートカットキーの一覧は上部メニューの「表示 > ショートカット」とたどることで確認できる他に,「編集 > Edit Shortcuts」で任意の組み合わせに変更することも出来ます.

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