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2012年8月13日

ハンブルグに来ています

先週の5日からDGS-Korpusのサマースクールに参加するためにハンブルグに来ています.今は現地時間で8月13日の14:47.先月末に行っていたスウェーデンほどではないにしても,かなり日が長くてよ22:00くらいまでは日が沈みません.そりゃサマータイムも意味があるわなと変な実感をしながら生活してます.

サマースクールは今週末までの2週間コースですが,すでに終わった1週間の内容を振り返ってみただけでもものすごくよく錬られたサマースクールになっていると感じています.HamNoSysによる記述方法をはじめ,データ収録のノウハウやデータ収録にあたって生じる可能性がある倫理問題とその対処など,かなり詰め込まれてはいますがコーパス言語学とはなんぞやというところから丁寧に説明してくれるので,コースを一通り受ければ自分のプロジェクトを始めるためのとっかかりを見つけることができるものになっています.今週はAnnotation,Data analysis,Project Designというコア部分の講義が続き,盛りだくさんな感じ.新しい参加者もたくさん来ていて盛況です.

ひとまず近況のメモということで.

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2012年8月 1日

ISGS 5th at Lund, Sweden

いつの間にか今年が半分どこかに飛んで行ってしまった気がしていますが,7月末にスウェーデンのルンドで開催されたISGSに参加してきました.今年はThe Communicative Body in Developmentがテーマになっていて,そのあたりの発表が多かったようです.タイムテーブルの関係もあってすべてを聞きに行くことはできませんでしたが,各国・各地域の手話言語に関する発表も多く登録されていて,海外でも活発に研究されていることがわかりました.

私自身はと言えば,Proposal of New Transcription Scheme for Sign Language Utterances in Interactionというタイトルで発表してきました.相変わらず手話の記述手法についての話ですが,一番のポイントは"in interaction"というところ.Kendonの提唱したGesture phaseの概念を援用しながら,相互行為場面では当たり前のように観察できる言いよどみや発話の中断といった現象を記述することの重要性を考えてまとめたものです.私の後がまったく同じコンセプトで手話の発話を記述することを考えている方(サンパウロ大学のLeland McCleary氏)で,お互いにびっくりしつつ,やっぱりこれだよねといいながら連絡先の交換などして盛り上がりました.地球の真裏と一気につながるとは思いもしていなかったので今回一番興奮したのはこれでした.

開催地になっていたルンド市はさすが北欧だなという気候で,日中の日差しがむちゃくちゃに強いことを除けばとにかく過ごしやすく,学会抜きで一度ゆっくり遊びに行きたいなと思えるところでした.ちょうど現地のみなさんはVacationの最中だったようで,日中のけっこう早い時間からお酒を飲んでおしゃべりしている人たちがたくさんいました.サマータイムだったこともあるのかな?町中を歩いていると,アメリカで日本語を勉強したことがあるよという人に話しかけられたり,日本人の観光客と一緒に写真を撮るというチャレンジをしている謎のオリエンテーション中の人たちがいたり,なかなか楽しいところでした.

開催校のルンド大学は創立が1666年と歴史のある大学.建物は古いけれどもよく手入れされていて綺麗なところでした.すぐ近くには大きなカテドラルがあって,中で涼んでいる人やコンサートのリハーサルをしている人たちで賑わって(?)いました.

撮ってきた写真いくつか
Lund University
Lunds domkyrka
カテドラルで合唱の練習中
Lundでの夜.これで22:00過ぎ.
MEATという名前のレストラン

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2011年4月22日

文字化規則の改訂作業

以前作った手話会話の文字化資料と映像データとを見比べながら,もう少し厳密な文字化の仕方はないものかと試行錯誤中です.Kinesicsみたいな動作ごとの記号による記述や機能分析がしたいわけでは無く,手話会話の中で用いられる表現を動作レベルで書き起こすことが目的なので汎用性の高いものが必要だなと考えています.例えば前の箇所と比べて手指動作が速く/遅くなっている区間はどう書くべきか,瞬間的な速度増をどう書くべきか,動作が中断されている箇所はどう書くべきか,考えてみるといろいろと追加・修正しなければならないものがかなりあります.

今更ながらJeffersonの仕事は偉大だったなとかみしめる次第.プリンシプル(を目指してひとつのシステム)を作るというのは本当に大変な作業です.

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2009年6月14日

学会シーズン到来

言語政策学会が昭和女子大にて開催.6月からはあちこち学会の開催が続きます.もうそんな時期なんだなと時間の早さを感じながら,思いのほか人の多い電車にのって三軒茶屋まで.

在韓日本人の日本語(母語)継承や地方自治体での言語サービス提供の実態調査など,いろいろな話がきけて勉強になった一方で,発表の多くでとられている視点がトップダウンであることに少し物足りなさを感じました.言い換えれば政策を実施する側の視点からの効率や有効性,意図を明らかにすることに加えて個人的な言語活動に関心を持つことにも同等かそれ以上に意義があるはずだろうということ.

社会や教育といった領域に対する施策としての言語政策を考えるときには政策の実施側だけではなくて,影響を被る側も必ずいるはずです.今日聞いた発表ではほとんどが実施側の問題認識とそれに対する調整の計画および実施というマクロレベルでの言語管理(政策)を焦点にしていました.目指すところは「よりよい」言語政策とは何かを考えることにあるのだと思われますが,それには同時に影響を被る側が実施された政策をどう捉え,どんな評価をしているのか,不満があったときにどんな行動をとって問題を解決する,あるいは解決しないのかというミクロレベルの言語管理の視点が必要になってくるように思います.というよりも,マクロレベルで認識される逸脱がミクロな個人的活動への関心からもたらされるものでないと,実際のところ実施した政策に意味があったかどうか検証できないんじゃないかなと.

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2008年5月28日

研究の何がおもしろいか

研究のおもしろさって何だと思いますか?忙しさにかまけていたら1ヶ月以上何も書かないままになってしまいました.今日のエントリは「研究の何がおもしろいか」というタイトルの通り.研究という活動に身を投じている身として,何がおもしろくてやっているのかということを何となく書いてみようかなと思います.

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2007年11月23日

ソーシャルブックマークで情報共有しよう

はてなブックマーク最近長いのばかり書いていたので今日は短めに.

ソーシャルブックマーク,海外のもので有名なのだとdel.icio.usだとかdiggだとか,いろいろありますけれども,私ははてなブックマークを使っています.

なんでこんな話を始めたのかというと,これをつかって研究関連の情報共有ができないかなぁと考えているからなのです.国内で手話研究に関する情報を集めようとしたときに,検索エンジンを使ってもなかなか上位に表示されなかったり,情報共有をしようと思ってもあまり手段がなかったりするので,とりあえず,私の独断と偏見で,手話研究に関するサイト,国内外の研究情報データベース,言語学系の雑誌,学会や研究会,あとは研究支援になりそうなウェブツールなんかをブックマークして集めてみました.今後も見つけ次第どんどん追加していく予定ですが,まだ私の知らない,見つけていないところもあるかと思いますので,他に有用なサイトがありましたら教えていただけると有難いです.

自分のブックマークをつくるには利用登録が必要ですが,閲覧するぶんには何もする必要はないので,まずは目を通していただければ.うまくいくかしら.

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2007年8月 3日

巨人の肩にのる

今日一番笑ったニュース.まだ昼だけどたぶんこれ以上は笑えないと思います.

自民党の丹羽雄哉総務会長は2日、中川秀直幹事長がすべての政治団体の「1円以上の支出」に領収書添付を義務付ける方針を表明したことに関し「そこまでやらないと政治の信頼回復ができないのか」と述べ、否定的な見解を示した。その上で「政治家については、内規で一律に5万円(以上の支出)に領収書を添付するのが現実的だ」と述べた。党本部で記者団に語った。

(「時事ドットコム:「領収書添付「1円以上」に異論=自民・丹羽氏」より引用)

頭と口とが直結してる人ばっかりですね.冷静に思考して建前をしゃべるのが政治家の仕事なのに.

さて,話は変わって「巨人の肩」.

Google Scholar,論文検索でときどき使うのですが,その検索ボックスの下を見ると以下のような一文があります.

Stand on the shoulders of giants

誰のセリフだったかなぁとしばし考えて,ニュートンだったことを思い出しました.原文はもう少し長くて,If I have been able to see further, it was only because I stood on the shoulders of giants.だったかな.含蓄のある言葉です.自身の矮小化による謙遜ではなくて,前提を明確化する姿勢だと理解するべきかな.何かを考えるときには気を付けたいことです.研究者でなくとも,自分自身の足場がいったい何でできているのか,今いるところからは何が見えるのか,移るべき足場は他にないのか,考えるきっかけとしては示唆に富んでいます.

ただひとつ気がかりなことが.なんせ巨人ですからいつ先が見えなくなってころげ落ちるか,不安でしょうがないわけです.などと :-)

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2007年5月 6日

ろう者間会話での調整

昨日,5月5日は先日の調査のフォローアップ.20分ほどの録画資料を,協力者2人に確認しながらインタビューをしてきました.協力者の方々はもちろんのこと,セッティングなどで世田谷福祉専門学校の学生さんにも多大なるご協力をいただきました.この場を借りて御礼申し上げます.

さて,最近は会話分析でいうところのrepair,もう少し大きい枠組みでは言語管理でいうところのadjustmentを中心に手話会話での話順交替を考えています.今回の調査でもそこを重点的に確認しましたが,一番気になっているのは相手のどのような反応を調整開始のトリガーとして認知しているのか(反応の有無も含めてどんなタイプがあるのか),そのトリガーが「発話の内容理解の問題」や「意味の曖昧さの解消」などのどのようなゴールに結びついているのか,といったことです.つまり話順交替での問題を,逸脱から調整実施までの一連の言語管理プロセスとして理解しようとしているわけです.

それからもう少しシステマティックな話だと,話順交替時に現れる「重なりoverlap」のタイプについても少し確認してきました.今のところ2つはありそうだと思っていて,1つは現在の話し手が交替時にできる隙間を埋めるように同じ表現を繰り返しているタイプのもの,もう1つは現在の聞き手が相手の発話内容を理解した時点で開始するタイプのもの.それぞれのタイプを「話し手・聞き手の双方からみた場合」で記述できていないという欠点があるわけですが,フォローアップで確認できた内容からなんとか見通しがつけられそうだと感じています.

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2007年1月26日

リテイク中

書いていた論文にコメントがついて返ってきたので書き直しを始めています.

日本手話話者が会話場面でしている調整行動について,調査協力者へのフォローアップ・インタビューを基にして分析したものですが,調査資料を見てみると「調査場面で話をしている」という意識がとても強くでていました.FUIでもその報告がかなり多くて最初はどうしようか少し困ったのですが,彼・彼女らが何を問題だと感じていて,対処するためにどんなバラエティを駆使しているのかが見えてきておもしろいです.

ここで言っているバラエティというのは,表層にでてくる現象自体のバラエティという意味だけではなくて,同じ問題に対する調整が異なる調整行動につながっていたり,異なる問題に対する調整が同じ(ように見える)調整行動につながっていたり,という意味でのバラエティです.表層に出てくる現象については少なからず研究がありますが,今までの日本手話研究では「なぜそのような調整行動にいきついたのか」という点について調査協力者の意識をあまり拾ってきていない,つまりプロダクトの部分しか扱ってきていないので,今書いている論文ではプロダクトが産出されるまでのプロセスも含めて記述し分析していくことの重要性を方法論的,理論的に補足して,今後の研究を広げていくことができそうだと思っています.

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2006年12月10日

ろう者の会話管理

つい最近やった調査から,ろう者が会話のなかでどんな調整をしているかについて考えています(元々は会話中の沈黙を考えようと思って計画した調査だったのですが,諸事情で後回しにすることに).

中身を組み立てるときにもっともリファレンスとして使っているのは協力者へのインタビューですが,彼・彼女たちからの報告をながめていると手話言語だからといって音声言語と違うことをしているわけではないということがよくわかります.例えば「相手によってキュードスピーチを使う/使わないを選択している」というのはメディアの選択という意味ではユニークな問題かもしれませんが,もう少し大きく相互行為に臨む場合の事前調整と考えるとかなりユニバーサルな問題です(ちょっと飛躍しすぎでしょうか).また「(会話を)盛り上げなければならないと思ってたくさんしゃべった」という報告は,必ずしもろう者に特有の調整行動だとは思われません.相互行為として手話会話と音声会話を比べてみると共通している部分がかなりあるわけですね.

つまり相互行為を見るときに,観察された事柄をろう者同士の会話だからといって「ろう者に限った話」として扱うべきではないというのが一番のキモ.扱いたい対象(文構造を見るのか,表情と意味との関係を見るのか,など)にもよるので一概に言えないことなんですが,そういう風に考えておくことも大事なことなんじゃないかなと思っています.

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2006年11月20日

何か還元できただろうか

先々週から調査に取りかかっていたのですが,昨日で一段落しました.今回の調査で見てみたかったのは,ろう者が会話を(もちろん手話で)するときに沈黙のコントロールをどのようにしているのだろうかということでした.分析はこれからなので詳しいことはいずれ書くとして,タイトルにした「何か還元できただろうか」というのは,いつも気にしていることですが,調査に協力してくれた人たちに対して私は何かを提供できたのかどうかということ.

研究なり分析なりした結果を例えば教育に活かすとか,世に広く知らしめて新しい動きを作るとか,そういう社会に対する還元は当然あるでしょう.でも実際に「私」の調査に協力してくれた「その人たち」に対して何か還元できるものを少しでも多く作れないだろうか,ということも気にしなきゃいけないなと思っています.つまり「私」と「その人たち」の関係の中で,ということですね.とはいえ,いつもそうできるのかというと,なにがしかの調査をしたことがある方はわかると思いますが,そうではないことの方が多いです.こちらの手違いで相手に余計な手間をかけさせてしまったり,そもそも調査という特殊な環境に相手をおくことでストレスを感じさせてしまったり,調査の全体を通して問題になりそうなことはたくさんあります.

でも,今回の調査では,終わった後に「ありがとうね」と言ってくれた方がいました.調査に協力するというのも初めて,カメラで会話の様子を録画されるのも初めて.そんな状況で,会話を途切れさせちゃいけない,できるだけ普段の通りに話さなくちゃ,いろいろ気を遣ってくれた方です.もちろん他の方々も同じように.それでも「ありがとうね」と言ってくれた.特に深い意味はなかったのかもしれませんが,何かそう思ってくれるようなことを調査の中に作れたんだなと思うとこの一言は本当に嬉しかったです.

調査は何かを調べるだけではなくて,協力してくれた人たちとの関係を作ること,これも含めて1つの「調査」なんだなと改めて思いました.

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