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言語政策学会 緊急研究報告会 [workshop]

先日の5月29日,言語政策学会の緊急研究報告会が新宿の麗澤大学サテライトキャンパスで開催されました.2011年3月11日に発生した東日本大震災を受け,災害時に情報弱者となりうる在日外国人や聴覚障害者の人々にたいする情報提供のあり方を考えるという主旨で,登壇者の方々それぞれに関わった事例や調査などの報告をしていました.私も同僚のSさんの紹介でろう者の方にインタビューをすることができ,わかったこと,考えたことなどを,以下のような概要でお話しさせていただきました.

今回の震災で,情報提供・保障という点で1つ大きな出来事だったのは,政府会見に手話通訳者が配置されるようになったこと.インタビューで応えてくれた人たちをはじめ,多くのろう者にとっては手話通訳の品質は充分なものではなく,まだまだ改善が必要なのは間違いありませんが,とにかく「公的な言語サービスの中に日本手話が含まれるようになった」という点で非常に大きな一歩だろうと思います.

一方,不充分だった情報保障に対してろう者が情報弱者の立場に甘んじていたかというとまったくそんなことはなくて,DNNの立ち上げ,Twitterでのつぶやきを契機とした動画配信サービスを利用した独自の手話通訳動画像配信への関与,職場や客宅での情報共有・交換といった様々な形での自助・相互扶助が行われていたことがインタビューで語られました.つまり不充分な情報提供という言語問題が立ち現れた時に,問題意識を共有することによって,言語問題への調整が実施されていたわけです.このとき,きわめて広い範囲で問題を共有し,スピーディに対応することが,ソーシャルメディアやウェブサービスによって可能だったのだろうと思います.

政府ないしは言語政策機関がイニシアティブを取って言語サービスを展開するのはあるべき情報保障の形として追求されてしかるべきですが,そういった縦のつながりの充実だけでなく,今回多くのろう者や手話コミュニティの人々が可能にした横のつながりを強化する・サポートすることを考えてもよいはずです.このあたりは,今後の(政策・研究両面での)課題として検討していかなければならないでしょう.私のできることもここにはあるはずなので,継続して考えていきたいと思います.

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