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手話会話のターン・テイキング [workshop]

研究発表の覚え書き.

先週後半に行ってきた研究室の合宿で手話会話の順番交替(ターン・テイキング)について発表.博論で考えたことを若干修正・追加して,2者間の手話会話で起こっていることをまとめて話してきました.

私が博論の中で言いたかっことは次のようなことです.手話会話では,順番が交替してもよい位置というのが発話の組み立て(統語,韻律,行為の3つ)から明らかであって,話し手と聞き手はその明らかな特定の位置で話す順番の交替を行っています.つまり,従来の音声言語会話研究で実証されてきたターン構成単位移行適格場完了可能点といった手がかりが,手話会話の場合にも同様に機能しています.ただし,手話会話ではそういった相互行為上の特定の位置が明らかだということだけではターン・テイキングが可能とならず,話し手/聞き手相互の視線獲得がターン開始の可否に直結したメカニズムに基づいて作動していることがわかりました.手話が(音声メディアではなく)視覚メディアを使った言語であることを考えれば,このメカニズムは非常に直感的な,当たり前のことのようにも思われますが,「手話会話での当たり前」にたいして,定量的側面の検討と定性的側面の記述に基づく構造的な説明を与えることができたと思っています(" 1).

というような話をした上でいくらかの突っ込みを受けつつも,これからの研究の道筋を示すことはある程度できたかなと,ちょっとした手応えをえることができました.あとはこれの,コアの部分をもう少しちゃんとまとめて論文にしようと考えています.時間がたたないうちに仕事しないといけませんね.がんばろう.

1
*1: 従来の研究で手話会話の視線について指摘されいないわけではなく,「ターン末尾での相互注視がターン・テイキングのシグナルになっている」という議論があります.ただしこれは現象の記述としては妥当だろうと思いますが,「なぜそのようになっているのか」「ターン内部で視線を移動させることができるのはなぜか」「移動させることが可能な位置/不可能な位置の違いは何か」といった問いには充分に答えていないように思われます.

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