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インタレスト [reviews]

移民時代の言語教育6月最後の勉強会では,つい先頃でた本,『移民時代の言語教育―言語政策のフロンティア1』の中から,ネウストプニーの「二十一世紀に向けての言語政策の理論と実践」を読んでみました.今まであまり強くは意識していなかったことがかなりはっきりと指摘されていて,9年も前に書かれた(1)とは思われないほど新鮮な読後感でした.

  • 田中慎也, 木村哲也, 宮崎里司 編. 2009. 移民時代の言語教育―言語政策のフロンティア1. シリーズ 多文化・多言語主義の現在, 3. 東京: ココ出版.

面白かったのは言語管理に関わる主体を捉え,記述していくのに必要なキーワードに参加者が抱えているインタレスト(関心,利害関係)や志向,どんな権力を支持しているのかを見る必要があるということをはっきり示していたこと.このことは,誰が,どんな意図で,どんなことを,どのように実行しようとしているのか,またそれはどんな支持基盤を持っていて,誰に向けてなされようとしていることなのかを考える必要がある,ということだと理解しました.言語管理理論では,言語問題の処理を「逸脱」「留意」「評価」「計画」「遂行」5つのステージからなる言語管理プロセスとして捉えています.5つのステージはそれぞれがもちろんキーワードの1つであって盛んに研究されているわけですが,個人的には,自分の研究や思考の中で前述のインタレストを(意識していなかったわけではないのですが,)キーワードとしては認識していなかったような気がしています.

一旦このことを認識してみると,言語政策も「共生」と同じように1つの言葉でしかなく,実態は多様に異なっていることが改めて理解されるように思います.一方で,そういった多様さを損なわないように留意する必要はあるとしても,言語管理の理論はある統一的な枠組で問題を考えることができる可能性を持っていることも,非常に面白いところです.

「共生」ということを考えるのに言語管理の理論が有効だということを再認識できたのは大きな収穫だったように思います.

1  この論文は2000年4月12日に開催された日本言語政策研究会 第一回発表会 課題講演の原稿を修正したもの,とのこと.

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