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生産的な議論にはなりませんでした [news]

 「ダウンロード違法化」が不可避に——12月18日に開かれた、「私的録音録画小委員会」(文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会内)で、「著作者に無許諾で動画や音楽をアップロードしたサイト(以下「違法サイト」)からのダウンロード」を、著作権法30条で認められた「私的使用」の範囲から外し、「違法サイトと知ってダウンロードした場合は違法とする」という方向性がまとまった。

私的録音録画小委員会:反対意見多数でも「ダウンロード違法化」のなぜ (1/2) - ITmedia Newsより引用)

ダウンロードこの議論にはずっと注目していていろいろなところの記事を追っかけてきましたが,この度めでたく方針が決まったとのこと.皮肉です.納得がいかないので,言いたいことを言います.

委員会での議論の詳細についてはリンク先が詳しいのでご覧ください.

いくつか思ったことを書きます.まずひとつめ.この議論についてのパブリックコメント募集には7000件以上もの意見が寄せられています.権利保護の強化という結論ありきの姿勢に対してAppleがかなり手厳しい,しかし的確な批判意見を述べていたことで一時期話題になりました.私もすべてではありませんが目を通しました.かなりの数の人たちが反対意見だったと記憶しています.文化庁の川瀬室長は「反対意見はもっともだと思うし、その意見は十分に踏まえているつもりだ」と述べているようですが,どう踏まえれば結論が「違法化は不可避」になるのか納得のいく説明ができるのでしょうか.

ふたつめ.ダウンロード行為を違法化することにこれだけ注力するのはなぜなのか理解できません.「適法サイト」でないもの以外はすべて「違法サイト」であるということにしてしまいたいという意図が後ろにあるのではないかと疑っています.疑っている理由はいくつかありますが,記事中に「適法サイト」マークなるいかがわしいものを普及させて周知徹底を図るというアイディアが示されていることからもわかるように,そうしたほうが管理団体への丸投げができて集金の効率化が図れるから,というのが一番大きな理由です.

みっつめ.ダウンロード行為を取り締まるのは,憲法21条において規定されている「通信の秘密」を侵害しない限り不可能です.しかし今回の議論の中では,インターネット上での通信がこの「通信の秘密」に含まれない,もしくは著作権保護のために「通信の秘密」を侵害してもよいというどのような根拠も示されていません.納得できる根拠が示されるとも思えません.

よっつめ.最後にある「ダウンロードのみ「複製」と見なし,ストリーミングは対象外」という解釈には整合性がまったくありません.各地のサーバーにあるファイル群をローカルに複製し,ブラウザやメディアプレーヤがディスプレイに表示する,というのが私たちのしているインターネット上での基本的な活動です.ストリーミングだろうがなんだろうが関係なく,すべてのインターネットはそういう仕組みで動いています.

最後,いつつめ.経済的損失が議論の焦点の1つになっていますが,もしかしたらこれまでのビジネスモデルが通用しなくなってきているのかもしれない,となぜ考えないのか.違う言い方をすれば,インターネット上でのダウンロード行為をこれまでの考え方で縛り付けるのではなくて,もっと先のあるビジネスに通用するような概念に発展させていこうとなぜ考えないのか.例えば同じ内容,音質で,好きな曲だけを選んで買うことができる,もしくはボーナストラックまで入っているデジタルミュージックがiTunes Storeで1500円で購入できる今,わざわざ同じCDを3000円以上も出して買おうなんて,少なくとも私はまったく思いません.やりかたがわからないと言うユーザーが多く存在しているとは思いますが,それなら敷居を下げる努力をするべきだし,そのための制度を考えるほうがよほど生産的です.

みなさんは委員会の決定をどう考えますか?

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