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結論を急がないで考えてみる [news]

連載「溶けゆく日本人」第4部のテーマは「快適の代償」。日々向上する生活の便利さの半面で、皮肉な現象が次々に起こっている。そんな「代償」を追う。

(【溶けゆく日本人】快適の代償(1) 待てない人々 数分間でイライラ - MSN産経ニュース より引用)

mobile phone様々な場面でいろいろなことが便利になっていく(高速化していく)一方で失われていくものがあるのではないか,というのは主張としてはわからなくもない.ただ,主張をそのまま受け入れてしまっては面白くないので,ここではとりあえず「待てないのはほんとに快適さの代償なの?」と言ってみます.

最初に結論を書いておくと,「快適の代償」という言い方ではなくて,「イライラという形での「問題」の表象」くらいが妥当なのではないかと考えています(ニュースのタイトルにはものすごくふさわしくないとは思いますが).以下その理由.

何人かの識者が記事にコメントを寄せていて,「待つ余裕がなくなった」「落ち着いて時間を過ごせなくなった」「せっかちになった」などなどが言われています.そしてそれは,この社会において待たなくていいというのが前提になりつつあるからだと.彼らが言うことの逆を考えてみると,「サービス提供時間が長いままだったら取り上げられているようなことが起こらなかった」という結論にたどり着く可能性が残されているように思います.ただしこの先サービス提供時間がさらに短縮化されていくことが容易に想像できる今,その可能性は克服する必要があるんじゃないでしょうか.だから,まずは何が「問題」なのかを考えるために,問題のタイプを分けることから検討を始める必要があるはず.

とすると大雑把に考えて,ネットワーク接続のような機械的事象に対するイライラと,レストランでの応対やメール返信のような人が媒介する事象に対するイライラとは次のような点で違っています.

機械的事象についてのイライラ
環境的な(設備の)問題でインフラが整いさえすれば解決するタイプ.例えばISDN接続がどうにも遅くて我慢ならなかった人が光回線を導入したら解決するようなもの.つまり快適ということ.
人が媒介する事象に対するイライラ
社会的・個人的な規範の変化の問題で,「これが原因だ」とは一概に言えない場合が多いタイプだろうと思います.リンク先で問題になっているのはこのタイプのイライラで,代償と言われています.

両者は同じイライラとして現れてきてはいるものの,とりあえずは別の原因によるもので,因果関係を認めることができるかどうか(ひとつの大きなまとまりとして考えられるかどうか)は別の話のようです.もちろんこの2つを関連づけて考えることもできるでしょうが,それにしても後者はいろんな要因が絡み合っているはずなので切り口が「快適」だけでは捉えきれないと思います.

今の時点でわかっているのは「なんかみんなイライラしてるよね」くらい.そこから丁寧に考えていった先に,違うイライラのはずなのに同じ速度が求められてしまっていることが「問題」だとか,それはリテラシーの「問題」なんじゃないのかとか,もう少し言うと想像力の欠如が「問題」として現れているんじゃないのかとか,いろいろなことが言えるようになってくるのだと思います.

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