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ろう教育の研究会 [workshop]

8月4日は講演会があって新馬場まで.最初,新木場と勘違いして大崎まで行ってしまったのは内緒です.品川駅のばか.品川のせいじゃないけど.

「バイリンガルろう教育とろう児の母語としての手話言語」
2007年8月4日(土) 10:30-13:00
六行会ホール
講師:トーヴェ・スクトナブ=カンガス氏

内容はおもしろかったです.手話言語が置かれている状況を言語政策や言語権との関わりから解説していくことに加え,今後ろう教育に関わる我々が,制度的な問題を政府や自治体へどのように働きかけてクリアしていくかなどの実践的な議論がわかりやすく盛り込まれていたと思います.英語・日本語・日本手話の3言語入り乱れての通訳体制や質疑でのやりとりも非常におもしろく,準備を進めてきた運営の人たちには本当に頭が下がる思いでした.

以下,散発的な感想を.人工内耳の問題については減算的か加算的かということよりも,同化を求めるということ自体をもっと強く問題化していく方が戦略としてはいいのではないかと思いました.完全な同化が認められることは永久にないわけですから(出典を失念してしまいましたが,障害学での同化と排除についての議論が参考になると思います),ろう教育が目指すべきなのはそうではない,つまり同化を必要としない,相手への共感に基づくオルタナティブの実践のはず.

それから「言語権を認めることが,裁判や賠償の問題の面から考えても国家の利益につながる」と思いっきりストレートに言及していたことに,今までにあまり考えたことのなかった観点で,個人的には新鮮な驚きがありました.ろう教育に限らず,戦略的に幅広く言語問題を考える上でも重要になってくることなのかもしれません.

それと一番興味深かったのは,講演の主張として「文化」ということばが一度も出てこなかったこと.多文化共生という言葉には少なからず疑いを持っている私としては,これは良い意味で驚きました.つまり,多様な人々の参加による社会の構築,という意味で共生が叫ばれているのであれば,それはいわゆる文化よりももう少し狭い枠組での(例えばスピーチ・コミュニティ内部での)個別性や多様性によって実現されるべきものなのではないかと思っているということです(誤解を招くと困るので一応断っておきますが,文化の実体を認めないという主張ではありません).

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