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会話の成功 / 失敗 [memorandum]

金曜日(06/02/02)は今年度の最終授業で発表が当たっていました.何を発表したものかしばらく悩んでいたのですが,前回の私の調査資料の中からやりとりがぎこちなくなってしまった例を取り上げて,これまでの先行研究では「理想的な会話場面」を取り扱おうとする姿勢が強すぎるのではないかという話をしました.

例えば自由会話を扱った研究の中には,話題転換時に頻繁に現れる「よびかけ」を禁止したところ会話が止まってしまう場合があることから「よびかけ」動作が話題転換時の重要な要素になっていることを指摘しているものがあります.しかし,「よびかけ」には確かにそういった側面がある一方,制約をかけられた参加者にとってみればその制約自体が逸脱になっているはずです.この逸脱に対して参加者はどんな評価をし,調整計画をたて,実施していたのかというプロセスについての検討がないまま議論を進めることはできないと思っています.表層に現れたブレークダウンの起点になっているのは研究者によって外部から課された「よびかけ」の禁止という逸脱なわけですから,参加者は他の手段を探したり,タイミングをいつもより慎重に図っていた可能性も考慮しなくてはならないでしょう.したがってそのままでは「よびかけ」が重要な要素であることには繋がらないのではないかということですね.

頂いたコメントの中で考えなければならないなと思ったのは,「会話の成功 / 失敗とはなんのことか」というもの.私の調査の中からやりとりがぎこちなくなってしまった例を取り上げて,と冒頭で書きましたが,これは調査場面であることを逸脱として留意したことが影響していました.しかしぎこちなくなってはいるものの,調査協力者は会話を維持しようと努力し続けていました.このことをどう考えるべきか.ぎこちなくなっているから,普段のやりとりとは違うからといって,単純に失敗であったと言ってしまってよいかどうか.これまでの研究ではこのような事例をほとんど扱ってきませんでした.言い換えれば「理想的な会話場面」を扱うことでそれ以外の事例を排除してきたということかもしれません.しかし,どうもそれではいけないという気がしています.

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