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ここでは私が聴きに行った演奏会などの感想を書いて行きます.室内楽だけではなく,オーケストラのものにも時々足を運んでいるのですが,おそらくチェロとピアノ,ピアノトリオのものが多くなると思います.

別れと出会いを想う時 -トリフォニーシリーズ- (2007/7/28(sat) 15:00 @ すみだトリフォニー)

クリスティアン・アルミンク(cond),ソル・ガベッダ(vc),NJP

  • ジャノウ / 新日本フィル委嘱作品(2007)(世界初演)
  • エルガー / チェロ協奏曲 ホ短調 op.85
  • ヴァスクス / チェロのための小品「本」(アンコール)
  • ベートーヴェン / 交響曲第4番 変ロ長調 op.60

全体的な感想から言うと,ソリストのソル・ガベッダさんの演奏はなかなか良いものでした.エルガーも綺麗だったし,ヴァスクスは響きの面白さをうまく表現していたように思います.ただオーケストラにはもう少し頑張ってほしいところ.音にキレがなかったのとピアニッシモが綺麗じゃない(ような気がした)のが気になりました.でもまぁ,それでも納得はできる演奏だったので不満たらたらというわけではありません.

ということで各曲のことに.

1曲目は世界初演(でも私が行ったのは二日目だったのでした.おしい)で,なんというか,不思議な響きの曲でした.フルオケ編成だったと思います.全体の抑揚ははっきりさせながらもうまいこと予想を裏切ってくれる感じ.少し冗長かなぁとも思いましたけども,作曲者がやりたかったことはこうなのかな?というのを想像しながら楽しく聴くことができたので満足.

2曲目はいわずと知れたエルガーの傑作です.奏者については寡聞にして知らなかったのですが,いろんな意味で上手なチェリストだと思いました.この曲の解釈というとどうしてもデュ・プレのそれに引っぱられてしまいがちな演奏が多い中,彼女なりの聴かせどころもちゃんと用意してありました.ただ最初にも書いたように,オーケストラが今ひとつ乗りきれていない気がしたのが惜しまれます.と,それはともかく,もしかしたら今回のコンサートの中でも一番の収穫かもしれないアンコール(ヴァスクス Peteris Vasks はラトビア出身で,今も精力的に活動を続けている現代の作曲家です).楽器を弾きながら同時に奏者が歌う箇所があって,これがまたなんともいえず美しい旋律でした.

3曲目のベートーヴェンでは,いまいち演奏に乗っかることができず.たしかに上手いんだけど,響いてこない.テーマの提示部がぼわぁとしていたからなのか,木管が裏返っていたからなのか,再現部がわかりにくかったからなのか,んー,全部かしら.第4楽章はとってもノリノリで楽しかったんですけどね.それだけが残念でした.

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華麗なるPiano Quartet vol.1 (2007/6/21(thu) 18:30 @ カワイ表参道"パウゼ")

鈴木和弘(vn),飛澤浩人(va),小川和久(vc),稲田潤子(p)

  • サン=サーンス / ピアノカルテット
  • ブラームス / ピアノカルテット第1番
  • フォーレ / ピアノカルテット第1番より第2楽章(アンコール)

4人とも個性的な演奏で,いい経験になりました.というくらいの感想.

小中学校の先生が書く所見では書き換えたい言葉というのがあるそうです(ほんとかどうかは知りません)が,コンサートの批評でも同じような言葉はあるわけです.

まず1つめ.4人とも個性的だと書いたのは,結局のところ最後まで渾然一体となることはありませんでしたという意味です.ピアノは音が固まりになってボンボン飛んでくる感じで何度かよけ損ないました.ヴァイオリンは目立っていましたがソロイスティックというよりもナルシスティック.ヴィオラは曲の中での自分の役割を果たせていない感じ.チェロは一番普通でこれといって気になるところはありませんでしたが良いと思ったところもありませんでした.

2つめ.したがって,いい経験になりましたというのは頭の中で音をまとめなければ1つの曲として聴くことができなかった,つまり聴く側の努力に頼らなければならない演奏だったということ.1+1+1+1=1+1+1+1のままでした.4にはなっていなかったし,かといって3や5だったかというとそうでもなく.聴き終わった後にものすごく疲れてぐったりしました.

3つめ.という諸々があり,演奏者が何をしたいのかまったくわからず,非常にストレスのたまる演奏になってしまっていました,というのが「4人とも個性的な演奏で,良い経験になりました」という感想の全てです.

ただ楽器を弾くのが上手な人が集まれば良い演奏ができるかと言えばそんなわけはなくて,室内楽には室内楽の楽しさや難しさがあります.今回のコンサートではそれが感じられませんでした.室内楽の楽しさや難しさというのは具体的になんのことかといえば,私は「解釈のすりあわせ」だと思っています.楽曲の解釈に正解はありません.ただし明らかな間違いというのは確実にあります.それを避けながら共演者それぞれの解釈をどうすりあわせて同じ方向に進むか,というのが室内楽でやらなければならないことです.その上でその解釈にどれだけ説得力を持たせられるかを考えていかなければならないし,全体の解釈には収まりきらずにはみ出てしまう部分をうまく魅せることが聴いていて心躍る演奏につながるのだし,理想的な意味での個性的な演奏になるのだと思います.(07/07/09)

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ピアノ室内楽のゆうべ (2005/11/13(sun) 18:30 @ 奏楽堂)

諸隈まり(p),扇谷泰明(vn),松浦健太郎(vc)

  • ショスタコーヴィチ / ピアノトリオ第1番
  • シューベルト / ピアノトリオ第1番
  • メンデルスゾーン / ピアノトリオ第1番

ちょっと間があきましたが,ピアノトリオの演奏会に行ってきました.

のっけから文句ばっかり書きますが,お金を取られるのが納得いかない演奏でした.拍手はたぶん両手で数えられるくらいしかしてません.

曲のテンポ設定は非常に緩慢.なにがしかの効果を狙っていたのだとすれば,これ以上テンポを速くすると弾けなくなるからこうしています,ということを示す以外の効果をもたらしていませんでした.

音程悪すぎ.それもチェロがひどかったです.シューベルトあたりは弦楽器にとっては弾きにくいフレーズがたくさん出てくるのでわからないわけではありませんがそれにしたって外しすぎです.ピアノも肝心なところで隣の鍵盤をたたいていました.バイオリンは安定してたのに.

チェロ,音小さすぎ.なぜ調弦をしているときが一番音が大きいのか.

こんな状態であるにもかかわらず,出せると判断したのは何故なのか訊いてみたいところです.

ひとつよかったなと思うのは,のっそりとではあるものの音楽が前に進もうとする意志は感じられたところです.「音楽が前に進む」ということの裏返しは「停滞した瞬間の積み重ね」,というのは私の仲間の表現ですが,これはとても大事なことだと思うのです.前進しているのかどうかという一点だけに限っても,それだけで演奏についての印象がまったく変わってしまいます.どれだけ完璧な技術を持っていたとしても,停滞した演奏に面白みを感じることはできませんから.(05/11/24)

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音楽の散歩道 -Promenade of music (2005/3/25(fri) 19:00 @ ルーテル市ヶ谷)

レオニード・ゴロホフ(vc)、藤波結花(p)

  • バッハ / 無伴奏組曲第4番
  • フランク / チェロ・ソナタ イ長調
  • ドビュッシー / チェロ・ソナタ ニ短調
  • ショスタコーヴィチ / チェロ・ソナタ ニ短調Op.40

演奏を聴くのははどちらの方のも初めて.選曲は最初の1曲をのぞけば最近のものでどれも有名どころだと思います.フランクのソナタは原曲はヴァイオリンソナタとして作曲されていますが,フルートやヴィオラ,時にコントラバスで演奏されることもあります.循環形式と呼ばれる手法が使われており,曲全体の統一感を構成しながらも変化に富んだ非常に魅力的な曲になっていると思います.

ショスタコーヴィチのソナタはチェロという楽器の音域の広さ,歌わせたときの美しさ,奏法の妙などの特徴が楽曲の各所に見られ,作曲者の音楽的な過渡期に作曲された作品ではありますが傑作の1つとして評価されています.

演奏は,前半は冗長な感じで不満が残る内容.好みの問題もありますがバッハは旋律を歌うべきところで歌いすぎ,歌わずにさらっと弾いてほしいところで流さない,でもメロディーの息は短い,というなんだかよくわからない印象を受けました.ここで一本,線が入ったようでフランクに入ってからはそんなこともなく安心して聴くことができたのですが,曲が淡々と進んでいき後の展開がわかるという安心感だったので,掛け合いのおもしろさはあまり感じられず.

予定調和的な安心感というのは聴衆に伝わってはいけない安心感だと思います.というのは,先に書いたように展開が読まれてしまうことで聴衆を曲に魅きこむ力を失ってしまうと思うから.表現したいものがあるならば綿密に計算した上で調整をしていくべきですが,同時にそれを前面に出さずに演じられなければならないと思います.演奏者がその曲を演奏することで何を表現したいのかが最初から予想できてしまう演奏なんて聴いていて面白くありません.予定調和を感じさせない予定調和こそが室内楽の真髄だと思います.

どうなるのかな?と思っていたら,前半では2人ともネコかぶってたようで後半で豹変.ドビュッシーもショスタコーヴィチもとても素晴らしかったです.特にショスタコーヴィチでは「この先どうなるんだ?」という昂揚感と,それがわかったときに納得できるだけの説得力が全楽章を通じて途絶えることなく,ぐいぐい曲に魅きこんでくれました.また楽章ごとにかなり雰囲気の変わる曲ですがそれぞれでやりたいことがバラバラというわけではなく,全体を通しての落としどころも納得のいく演奏でした.前半をこのノリで聴くことができなかったのは残念ですが,後半の2曲で不満も吹っ飛びました.(05/03/27)

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