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Sir Charles Villiers Stanford, "Irish Rhapsody No.3 for Cello & Orchestra", -Wallfisch & Ulster Orchestra(cond. Handley- 1990, Chandos

チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード,19世紀半ばから20世紀初頭を生きたアイルランドの作曲家です.ここで紹介するアイルランド狂詩曲は全部で6つあるうちの1つ.かなりたくさん作曲をしているようですが,Irishの冠された作品群は彼の代表曲であると言えるでしょう.Irishとあることからもわかるように,曲想にはアイルランドの民俗音楽がモチーフとして組み込まれています.ということがライナーノーツには書いてありました.

気を取り直して曲の紹介です.作曲家についてはまったく知らず,たまたまインターネットラジオを聴いていて耳に入ってきた明るくどこまでも続きそうな緑を感じさせる柔らかいメロディーに心惹かれました.緑というのはもちろん風景ではあるのですが,どちらかというと色として.音楽を聴いていて色を感じることはあまりないのですが,時々出会えるとなんとも嬉しくなります.このCD収録されているオルガンとオーケストラのコンサートピースでは,楽器の特徴でもありますが,雲の切れ間から差す幾筋かの光が想像できるような気がします.

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Edward Elgar, "Violin Concerto", -Hahn & Sir Colin Rex Davis(cond), London Symphony Orchestra-, 2004, Deutsche Grammophone

エルガーのヴァイオリン協奏曲,なんと演奏時間60分弱の大曲です.たぶん,これまでに作曲されたヴァイオリン協奏曲の中でもダントツなんじゃないでしょうか.曲想としては非常にロマンティックかつ謹厳な旋律が美しく心に響く名曲.ハイフェッツの演奏で有名なのではないかと思いますが,ここではハーンの演奏をお勧めします.

最初に書いたとおり,全楽章を通じてロマンティックを謳いつつも緊張感がとぎれることがなく,特に2楽章ではその情感がよく表現されているように思います.第3楽章では美しく流れるような雰囲気の第1・第2楽章からは少し趣が変わってヴァイオリンの超絶技巧が駆使されていますが,単にそれを誇るだけではなく劇的な効果をもたらしています.ヴァイオリニストのハーンはまだ若い演奏者(2007年現在で20代後半)ですが,曲の要求に応える技巧はもちろんのこと,穏やかな情感も情熱の迸りも,そしてその間の細やかな移り変わりも多彩に弾きわけた素晴らしい演奏を披露しています.

私が特に好きなのは第3楽章の終結部.それまでの深く静かな旋律から徐々に盛り上がっていき,最後にはヴァイオリンとオーケストラとが一体となって大団円に向かって突っ走る高揚感がこちらにも伝わってきてものすごく興奮します.

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Samuel Barber "Adagio for Strings" -London Symphony Orch- 1985, ASV

映画“Elephant man”や“Platoon”で使われていたバーバーの曲です.聴いたことのある人はけっこういるのでは ないでしょうか.私が持っているのはASVからでている『Adagio』といういろんな曲の“Adagio”ばかりを集めたコンピレーション・アルバムで,“Nocturne”とか“Carnival!”とか,他にもシリーズがあるみたい.ちょっと中途半端な感じもありますが,悪くはないので買ってみても損はなさそうです.

バーバーの“Adagio”,もともとは弦楽四重奏のための曲として作曲されたようですが,今ではオーケストラ(弦のみ)で演奏されることのほうが多いかと思います.編曲を勧めたはトスカニーニだとか. 非常に美しい曲想で,映画では悲劇的な演出に使われていたように記憶していますが, そう使いたくなるのも納得できるというか,悲壮感漂う美しさという感じ.とはいっても私の中で 曲と映画のイメージが混ざっているのかもしれませんけどね.

人が曲にたいしてなにがしかのイメージを持つというのはどういうことなんだろう,ということを考えてしまいます.作曲した人がどういうイメージで作ったかということとはまったく関係なく,聴いた人それぞれが勝手に解釈して いろいろなイメージがくっついていく.映画のなかの挿入曲に使われるというのはそういうことでしょう.でも,よく考えてみると不思議なことです.もしこの曲が「悲劇的な」映画ではなく「喜劇的な」映画で 使われていたら,ということを少なくとも私は想像できません.イメージに「合わない」ような気がしてしまいます.やはり“Elephant man”や“Platoon”で使われたほうが良いのではないか,という思いから抜け出せません.

こういうことを考えながら曲を聴いているのは,ある意味でとても楽しい作業なんですが, 精神衛生上あまりよろしくないかもしれませんね(笑).

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Edward Elgar "Cello Concerto" -du Pre & Philadelphia Orch(cond. Barenboim)- 1970, Sony Music Entertainment

エルガーのチェロ協奏曲です."愛の挨拶"や"威風堂々"で有名な作曲家ですね.デュプレの演奏では,他にもバルビローリさんと競演している盤があります.本当はそちらをお勧めしようと思ったのですが,手元になかったのでバレンボイムと競演しているものを紹介します.デュプレ以外だとウィスペルウェイやコーエン,カザルスなど.どの演奏も魅力的ですが この演奏の前では霞んでしまいます.

チェロってこんなにもうたえる楽器なのかという驚き.ヴィブラートでこれほどまでに曲を魅力的に聴かせられるのかという発見.心だけでなく体そのものを揺さぶられているような説得力.いろいろ聴きましたがデュプレの演奏が一番それらを伝えてくれるように思います.他にも伝えてくれているものは たくさんありますけどね.

デュプレの演奏で聴いてほしいなぁと思う協奏曲は,他にハイドン,ドヴォルザーク,シューマンのもの.亡くなってしまった後も(本当に残念です)彼女の人気は衰えていません.どれも簡単に手に入りますので ぜひ聴いてみてください.本当にすごいんだから.

追記:読み返してみたらエルガーの協奏曲ではなくてデュプレの紹介になっているので曲についても少し.エルガー(Edward Elgar)の最後の作品となった曲.「チェロのために書かれた」,という形容がもっとも相応しい 協奏曲であると思います.第1楽章冒頭で提示されるテーマが曲全体にわたって影響しており,4楽章終結部では効果的なテーマの再提示によって 劇的に曲を締めくくっています.作られた当初,カザルスの激賞を受けたようですが,存在を世に知られるようになったのは デュプレの圧倒的な解釈あってこそではないかな,と思っています.

やっぱりデュプレの紹介になってしまったような……

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