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Ludwig van Beethoven, "Cello Sonata", -Various Artists-

ベートーヴェンのチェロソナタといえば有名なのは3番だと思いますが,他のソナタも勝るとも劣らない傑作揃いです.室内楽だとピアノソナタ「月光」や「テンペスト」,ピアノトリオの「大公」などが取り上げられる機会の多いベートーヴェンですが,そういった有名な作品たちと比べてもまったく遜色が無いどころか,超えているとさえ思っている私の大好きな曲たちです.非常に良くできた(こういうとおこがましいですけど)曲で,古典派の端正さからロマン派の情熱まで様々な顔が見えてくるというベートーヴェンの集大成をここにみることができるのではないかと思います.

  • デュプレとバレンボイム, Double fforte
  • ロストロポーヴィチとリヒテル, Philips Classics
  • フルニエとケンプ, Deutsche Grammophon
  • カザルスとゼルキン, Sony Classical
  • シャフランとギンスブルク, DOREMI
  • トルトゥリエとハイドシェク, TOSHIBA EMI

これは私が持っているCDの演奏者組み合わせリストで後ろについているのがレーベル名.全部ベートーヴェンのチェロソナタのCDです(物好きとか言わない).この部分の演奏者をVarious Artistsとしたのはこのため.どれも素晴らしくてそれぞれに味のある演奏です.先に書いたように,とても良くできた曲なので誰が弾いてもそれぞれの良さが十二分に表現されていて,どれが一番というのはちょっと決められません.

魅力的で説得力のある演奏ならデュプレとバレンボイム,スケールの大きさならロストロとリヒテル,とことん曲の良さを感じさせてくれるフルニエとケンプ,録音が古いけれどズシンと響きのあるカザルスとゼルキン,自由でのびのびとした表現はシャフランとギンスブルク,気品を感じるトルトゥリエとハイドシェク,どれもこれも素晴らしい演奏です.

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Claude Debussy, Maurice Ravel & Guillaume Lekeu, "Violin Sonata", -Kantrow & Rouvier-, 2006, DENON

Crest1000シリーズのひとつ.ドビュッシー,ラヴェル,ルクーのヴァイオリンソナタを収録した1枚です.ドビュッシーやラヴェルのソナタはけっこう有名なのでレビューは他の人たちに譲るとして,ここで紹介したいのはルクーのソナタです.

ギョーム・ルクーはフランスの作曲家で同時代の作曲家だとフランクやフォーレ,ドビュッシーなどがいますが,彼らとはだいぶ違う印象.影響を受けているのは間違いないのでしょうが,ヴァイオリンソナタを聴いた限りではとても情熱的な作風のように思います.1楽章では静けさと激情との移り変わりがけして暗くなりすぎない旋律で,2楽章ではうってかわってけだるい沈鬱さを,そして第3楽章では美しい旋律にのせた感情の高まりが歌い上げられています.

カントロフとルヴィエは下で紹介しているフランス近代のピアノトリオでも競演している2人ですが,相変わらずの透きとおった音で魅了してくれます.一緒に収録されているドビュッシーとラヴェルの演奏でも充分にそれを楽しむことができます.

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Johannes Brahms & Sergej Prokofiev, "Violin Sonatas", -Oistrach & Richiter-, 1998, ORFEO

1972年,ザルツブルク音楽堂でのライブ演奏(の一部)を収録した1枚です.もしかしたら"バルトークとプロコフィエフ"のセットになっているかもしれませんが実際は"ブラームスとプロコフィエフ"のセットのはず.帯が間違っているみたい(本当はあるのか?うーん,どっちでもいいか).とにかくこのCDの紹介.

曲について少し解説しておきます.ブラームスが作ったヴァイオリンソナタは全部で3つあって,このCDに収録されているのは第1番です.ヴァイオリンが奏でる朗々とした旋律をピアノが穏やかに包み込んで紡ぎ出されるこのソナタはロマン派音楽の中でも傑作の1つと言えるでしょう.プロコフィエフのヴァイオリンソナタも収録されているのは第1番.こちらはブラームスのそれとは変わって峻厳な響きによってスケールの大きい音楽が展開されます.

肝心の演奏ですが,プロコフィエフのソナタが本当にすごい.クレーメルとアルゲリッチが弾いている演奏もあるのですが,私としてはこちらのスケールの大きな演奏のほうが好みです.曲のもつ峻厳さがきっちりと表現されていて,細部から全体にわたるまでのダイナミズムを感じさせてくれる演奏になっているように思います.オイストラフの枯れた深みのある音色とリヒテルの綺麗な響きとが,最初から最後まで堪能できるのではないでしょうか.特に4楽章終結部で,消え入るような静けさの中に深く響き渡る2人の音色は絶品だと思っています.

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Gabriel Fauré, Maurice Ravel & Claude Debussy "Trio pour piano, violin & violoncelle", -Kantrow, Rouvier & Miller-, 2006, DENON

1985年にDENONから発売されていたカントロフ,ルヴィエ,ミュレの3人による演奏の復刻版です.だいぶ長いこと再版されるのを待っていたのですがようやく2006年に,なんと\1000で再版されました.Crest1000というシリーズで他にも素敵な演奏がたくさんあります.すばらしい.

CDにはフランス音楽の中心的存在である3人の作曲家,フォーレ,ラヴェル,ドビュッシーのピアノトリオが納められています.演奏は作曲家それぞれに様々な表情を見せますが,どれも際だった透明感があります.透きとおった,けれど芯のある美しい響き,私の知る限り最高の演奏だと思います.私が一番好きなのはフォーレのトリオ.もちろんラヴェルとドビュッシーのトリオも素晴らしい作品なのですが,フォーレのトリオは和声の美しさが特にすばらしいです.音色や響き,調性を徐々に変えながら展開していくこのピアノトリオはフランス近代音楽の中でのひとつの達成点ではないかと思っています(個人的にですけども).

フォーレの作品(特に晩年のもの)は彼に特有の響きを持ちながらも,古典的なものやワーグナーなど同時代の影響がうまく取り込まれていて,彼の生きた19世紀半ばから20世紀初頭までを,まさに身をもって表現した作曲家であると言えるかもしれません.

これ以外のCDについて最後に少し触れておくと,ミラノトリオの弾いているもの,フロレスタントリオの弾いているものの2つがあります.ミラノトリオのものは響きが多少荒くてぎこちないですが,ほどよい熱さを感じることはできます.フロレスタントリオのものは,それぞれの楽器の音は美しいのですけれど,全体としては透明感とモヤモヤ感とが混ざっていて残念.

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Albéric Magnard "Sonata pour violoncelle & Quatuor á cordes", -Demenga & Keller, Quatuor á Artis-, 2000, ACCORD

フランスの作曲家マニャールの作品です.あまりメジャーな作曲家ではないかもしれません.遺されている曲もだいぶ少ないようです.私もずっと知らずにいたのですが,新宿のタワーレコードに立ち寄ったときに一緒にいた知人に教えてもらいました.しかし新宿のタワーレコード,なんでもあるんじゃないかと思うくらいたくさん置いてありますね.都内に出る用事があるとつい立ち寄ってCDを探してしまうのは私だけではないはず.

フォーレなどと同時代の人(フォーレは1845-1924.マニャールは1865-1914)で同時代の影響が強く聴いて取れます.このチェロソナタとカルテットにはフランス近代物らしい調性変化の妙を楽しめる曲になっていると思いました.特に気に入ったのはチェロソナタの3楽章.少しの不気味さをはらみながら徐々に哀切な,美しい響きへと変化していく旋律が耳に残ります.演奏しているのはDemenga(チェロ)とKeller(ピアノ),Quatuor Artis(カルテット).彼らの経歴を詳しくは知らないのですが,非常にバランスのとれた演奏です.音色の変化や間の取り方,楽章間のバランスといった表現・解釈は説得力のあるものになっているように思います.

冒頭で書いたようにあまり作品は多くないようですが,他にはヴァイオリンソナタや交響曲なども作っているようです.少し大きいCDショップに行かないとおいていないかもしれませんが,フランスものが好きな人は見つけたら手に入れておいても損は無いと思います.

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Cesar Franck "Sonata in A major", -Maisky & Argerich-, 1997, EMI CLASSICS

この曲はもともとヴァイオリンソナタとして作曲されていますが,フランク自身も「他の楽器でも良いよ」と 言っているようで,今ではチェロやフルート,なんとコントラバスでも演奏されたりしています.それだけ親しみやすいし,人気のある曲なんだな,と思います.

録音もかなりたくさんあります.その中からこの演奏をえらんだのは何故かというと,演奏している2人がどちらも気もちよく,かつ緊張感を失わずに歌えているように思うから.あまり合わせることに慣れていない人が演奏しているのを聴くと,「気持ちよく弾けてるんだろうな」 と思うのはたいていどちらかだけでもう一人のほうは相手の勝手な陶酔につき合わされている,という場合が結構あります.したがって,聴いていてもまとまりがあんまり感じられません.

逆に緊張感を持続しつつ,ひとつの楽曲としての統一感を持続しつつ演奏しようとしているときは それがうまくいっていたとしても,コントロールしてます,というのが丸わかりの 聴いていて面白くないものになっていることがあります.

この演奏では,そのふたつが調和のとれた形で表現されている,すなわち,2人の魅力が充分に発揮されていて,なおかつその魅力が楽曲としてのまとまりの中に表現されているのではないかな,と思うわけです.

「プロなんだからあたりまえじゃない」 と思われるかもしれませんが,いやいや,プロでもつまらない演奏をしてるものは腐るほどあります.ガチャガチャならしてるだけのうるさい演奏,ふにゃふにゃしてて何をやってるんだかぜんぜんわからない演奏,他にもいろいろ.これ以上書くと文句だけになってしまいそうなのでここら辺で終わったほうがよさそうです.

一応他の楽器で演奏しているものでのお勧めをあげておくと,ゴールウェイ(fl)とアルゲリッチ(p),ティボー(vn)とコルトー(p),デュメイ(vn)とピリス(p)の演奏がよいと思います.

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Johannes Brahms "Piano Trio No.1-3" -Frankl, Pauk & Kirshbaum- 1999, EMI CLASSICS fforte

ブラームスのピアノ三重奏曲全曲が収められているCDです.他に五重奏もはいっていますが,お勧めなのはトリオ.室内楽をあんまり聴かない人でもすぐに気に入ってもらえるのではないかと思います.1番から3番までありますが,いろんな表情を見せてくれて飽きがぜんぜん来ません.何度でも聴けます.いろんな表情を見せながら徐々に盛り上がっていくこの曲を,とても暖かくて,でもちょっとせつなくて.そんなタッチで美しく描き出しています.

私は以前に2番の2楽章を演奏したことがあるのですが,合わせるのが難しかった記憶があります.幸い共演者に恵まれたので,よい演奏ができたのではないかと思っていますが,やっぱり練習で自分のイメージを相手に伝えたり,相手のイメージをつかんでいったりする過程は 試行錯誤の連続でした.その試行錯誤こそが面白さの正体なのかもしれませんけどね.

他の演奏者のものでお勧めできるのは,カザルス・ヘス・スターン,デュメイ・ワン・ピリス, シェリング・フルニエ・ルービンシュタインのものなど.どれもそれぞれのよさ・面白さが味わえると思います.

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Ludwig van Beethoven "Piano Trio No.7" -Casals Trio- 1992, Toshiba EMI

ピアノトリオの王様として有名なベートーヴェンの“大公”です.演奏しているのは カザルス(Vc),ティボー(Vn),コルトー(P)の3人からなるカザルストリオ.録音されたのが1928年でかなり古く,音質は残念ながら非常に悪いのですがそれがほとんど問題にならないのが この演奏のすごいところじゃないかな,と思っています.

3人が3人とも非常に魅力的な演奏家ですが,その個性はやはりこの演奏でも遺憾なく発揮されていると思います.カザルスのスケールの大きな(音も大きい)歌いまわし.ティボーのちょっとやりすぎなんじゃないかと思うほどの表現.コルトーの音は外しちゃってるんだけどよどみのないタッチ.それらが不思議なくらいよくかみ合っていて聞いていてニコニコしてしまうようなほのぼのさと,ひとつの音楽的な感動とが同時に込められていると思います.

このCDに収録されているもうひとつのピアノトリオ,シューベルトの1番はその2楽章の美しさで有名な曲ですが,こちらに関しても,その夢見るような美しさが堪能できるのではないかと思います.

アマチュアとはいえ楽器を弾いている身としては,いつかこんな魅力的な演奏ができたらなぁと思っているのですが なかなか(当然か?)そうもいかないわけでして.でもいつかやりたいなぁ….

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Johannes Brahms "Sonata for Piano & Cello" -Fournier & Backhaus- 1997, PolyGram

ここで紹介するのはフルニエとバックハウスの演奏です.ブラームスのチェロソナタは他にもいろいろな組み合わせでの演奏があって,例えばロストロポーヴィチとゼルキン,デュ・プレとバレンボイム,ヨーヨー・マとアックスあたりが 有名なところでしょうか.あとはシュタルケルとシェベックとか,まぁいろいろあります.

その中からなぜにこの2人の演奏を選んだのかというとですね,間が絶妙なのです.ほかの演奏だと,ちょっと歌いすぎかなとか,もっとゆったりやってくれないかなとか,いろいろ 思うところがあるのですが,フルニエ&バックハウス盤では,テンポやテンションの移り変わりも含めて 絶妙なのではないかと思います.さらに「いいなぁ」と思うのは,それが前面に出ていない,つまり コントロールされている感じがまったくしないことです.

ほかのCDについても少し触れておくと,ロストロとゼルキンの演奏は非常に"らしい"演奏です. スケールの大きい,骨太な演奏が好きな方はこちらを.

デュ・プレとバレンボイムの演奏は,ゆったりめで丁寧にうたっている感じ.弾きかたを変えてるのだとは思うのですが,やはりピアノがポロポロしてる(のはバレンボイムの特徴ですね)のでブラームスにはあまり向かないのかなぁと思いました.デュ・プレとの息はぴったりです.

マとアックスのものは,聴かせる気まんまんなところがちょっと.

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